鍼を刺した状態で安静状態を保つことを置鍼(ちしん)と言います。当院の治療では30分以上置鍼することにより、治療効果を高めています。
置鍼状態では体がリラックスモードになるため眠気を感じ、実際に寝てしまう人も多いです。
先日初めていらっしゃった方が、カーテン越しに隣のベッドでいびきをかいて寝ている方の様子に対して、信じられないといった反応をされていました。しかしその方も鍼を刺し終わり置鍼しているといびきをかいて寝ていました。
置鍼時間が終わり鍼を抜くときに、「寝ていらっしゃったみたいですね」と聞くと寝ていないといいます。こういうことはたまにありますが、なんだか私が失礼なことを言ったような雰囲気になります笑
リラックス状態だと睡眠と覚醒の境があいまいになるので、寝息やいびきを立てていても、本人は意識があるように感じることがあるようです。指圧やマッサージを受けた時に半分寝ているような状態になることがありますが、それと同じことが鍼治療でも起きます。
当院の鍼治療では、鍼を刺した時に深部で感じる得気(とっき)とよばれる、重いような、締め付けられるような、しびれるような感覚を起こすことが重要になってきます。
得気を感じると体はまず、交感神経優位(緊張)な状態の反応を示します。例えば発汗、心拍数の増加、鳥肌などです。
その後、置鍼時には副交感神経優位(リラックス)な状態へと移行していきます。この状態では心拍数の減少、胃腸が動く、ねむけ、唾液分泌が増えるなどがみられます。
鍼を抜いた後も副交感神経優位な状態は継続し、治療当日中は眠気だるさが継続する場合もあります。
このように鍼治療は自律神経系にも影響を与えるため、結果的に消化器系の不調や睡眠の改善につながるケースも多いです。