【鍼灸師が答えます】「お人好し」の失敗談ですが、若い時に大阪のホテルでマッサージ師(女性)が”鍼”の資格を取ったばっかりで私の首のコリを治せると言い張ったのでOKした結果今でも鍼跡が痛むのですがその様な経験有りますか?

某Q&Aサイトでの質問に答えてみたのでこちらでもご紹介します。

開業鍼灸師です。

私自身、うまい人や、下手な人や、資格がない人まで、沢山の方の鍼施術を受けたことがありますが、長期間鍼跡の痛みが残ったという事はありません。

一般的に用いられる鍼を使い、学校で習得する方法で刺した場合、何年も痛みが残るという事は通常考えられません。たとえ下手な人が適当に刺したとしても痛みが残ることはありません。

今回のように鍼を刺した後の痛みが年単位で残るような場合について、私なりに3つの可能性を考えてみました。施術時の状況と現在の痛みの状態がわからないので、かなり的はずれなものが含まれていることはご容赦ください。

一つ目

そのマッサージ師の方が、鍼の施術について、学校以外でも学んでいて、経験が浅いものが行うと神経障害性疼痛を引き起こす恐れのある施術を行ってしまった。通常、神経に鍼を刺しただけでは痛みは残りませんので、何らかの鍼の操作法で神経障害を起こす必要があります。この場合、施術中も耐え難い激痛を伴います。

ニつ目

首の筋肉の緊張が慢性的なものであったが、施術前の時点では痛みはそれほどではなかった。鍼の刺激をきっかけとして、痛みが誘発されて、それが慢性化してしまった。

三つ目

若い時というのが、かなり昔の話だった場合、昔は劣化した鍼も使い回すため、鍼が折れて体内に残ってしまった。または、意図的に鍼を体内に残す治療法を行った。現在では体内に鍼を残す事は禁止されています。

以上、参考になれば幸いです。


補足

ここまでが回答ですが、ホームページでは鍼に興味を持っている方が読む可能性が高いので、少し補足します。

神経障害を起こす可能性のある手技はどんなものがあるか。

刺した鍼を回転させることにより、筋繊維や結合組織を鍼に絡みつけて、勢いよく引っこ抜く手技があるのですが、これを太めのの神経に直接行ったら痛みが残る可能性があります。

太い神経に鍼を当てた時の痛みは、その神経が支配している領域にしびれるような感覚が出ます。しかしそれは一時的なものであって後まで残るものではありません。

特に痛みを感じている状態でない神経の場合、刺さった時にしびれが出て、刺されている間は特に何も感じませんし、抜くときもそれほど感覚はありません。

自分の肘の内側の神経に鍼を刺したことがあります。神経に刺さる瞬間にしびれが出ますが、神経を鍼が貫く間は特に痺れ、痛みなどはありませんでした。椅子の背もたれの角に肘をぶつけた時の方が遥かに痛いですし、しびれ感も残ります。

日本で受ける鍼は一般に想像されるよりも侵襲性の低く、安全な施術です。

以前に巨人の選手が鍼治療のせいで長胸神経麻痺になったというニュースがありました。鍼灸師の立場から見ると、鍼を打っただけで神経麻痺を起こせるような達人がいるならぜひお会いしてみたい。と思うくらいに考えにくいことです。

このような例は一般の方でも起こりえます。鍼治療を行った後に、何らかの不具合(鍼治療とは関係のない)が起きた時、鍼治療に関する知識の少ない方の場合、鍼のせいで不具合が起きたと考えてしまいます。

そして怖くなり、その鍼灸院に行かなくなるため、正しい情報を知らないまま、鍼治療は恐ろしいものであると周囲に話すことでしょう。

そうして鍼治療はよくわからない恐ろしいものだと思う人が増えます。このような鍼治療に対する不信感はなぜ起きるのか考えてみると、鍼灸業界側にも問題があるように思えます。

難病(治らない)が治りますとか、がんが治りますとか誇大な宣伝をする鍼灸院が少数存在しています。普通の感覚であれば、そんな現代医学で説明ができないような効果があると言われたら、逆に説明のつかない副作用があってもおかしくないと思われて当然です。藁にもすがる思いの方がこのような悪徳鍼灸院に騙されてしまうのだと思います。またそのような誇大な宣伝が、いいイメージでとらえたとしても、科学では説明できない神秘的な行為だと認識されてしまうので、それも困ります。このようなごく一部のよろしくない鍼灸院の行いが、鍼灸に対するイメージを落としている一面があると思います。

鍼灸治療のことを、科学では全く説明できない神秘的な宗教的なものだと思っている人はたくさんいます。そのため初めて鍼を受ける患者さんに、鍼が効くメカニズムを説明すると、驚かれることが何度もありました。

一般の人にとって、鍼灸治療を受けるハードルはまだまだ高いものだと感じます。鍼には即効性があり、現代においては安全に施術を受けることができますので、痛みの除去や機能障害の改善手段として、もっと日常生活に普及させることで、快適な生活を送れる人が増えることを望んでいます。

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