鍼治療の副作用

前回、自分の腰に鍼を打ち、腰砕けになり筋肉痛になったが、劇的に効き目があった時の記事を書きました。自分自身への治療ということもあり、かなり強めの刺激量をだったため、良くも悪くも反応が強く出ました。そこで今回は鍼治療を行った際に見られる副作用について解説していきます。


副作用について

どんな医療にも作用があれば副作用が必ずあります。しかしながら、副作用がないと謳っている治療院、カイロ、整体の宣伝を見かけることがあります。もし副作用がないことが事実であれば、その治療法ではおまじない程度の効果しか期待できないでしょう。また、副作用を好転反応と言い換えている場合もあります。好転反応とは治療の経過において生じる、身体の反応のことを言います。つまり、症状が改善していく過程でみられる副作用のことを、好転反応と呼んでいます。 当院で行っている鍼治療は比較的強い刺激量の治療であるため、作用(症状の改善)も副作用(症状の改善以外に見られる体の反応)も大きく出る可能性があります。実際の治療においては、個人に合わせた刺激量を選択することにより、治療効果と体に出る反応を調整しています。

鍼が体に及ぼす影響

鍼治療は細い金属でできた針を体内に挿入します。そのため体内に侵入する過程で、皮下組織、筋、毛細血管、神経等に微細な損傷が生じます。通常使用する鍼は極めて細い為、人体に対して問題のある影響はほとんどありません。また、滅菌された鍼であっても、人体にとっては異物であると言えます。

つまり鍼治療は鍼という異物を体内に挿入することで、体の組織に軽微な変化を起こし、患部または全身に影響を与えることにより、疾病、傷害の治癒に役立てているということです。異物を挿入し、軽微といえども損傷を与えるということは、副作用と無縁でないということです。なぜ、このような刺激を与えることで、疾病の治癒に役立つのかについては別の頁で説明したいと思います。

現代の鍼治療は鍼の品質の向上と、衛生管理の徹底により、鍼折事故や感染症を原因とする副作用はほとんど起きなくなりました。主な副作用は鍼を刺入することにより起こる身体の反応です。当院の治療において見かける副作用は皮下出血 、治療後の筋肉痛・脱力感、自律神経への影響により起こる身体の反応です。

皮下出血について

体質により個人差がありますが、内出血、外出血ともに比較的高い頻度で発生します。血管から出た血液が皮膚の直ぐ下にとどまるとあざになりますが、1~2週間程度で吸収されて消えます。微小な皮下出血による身体への影響はありません。しかしながら、美容上問題となるため、治療を受けていただく方には、あらかじめ了承していただく必要があります。

顎関節症などの治療で顔面部に刺鍼が必要な場合は、なるべく細い番手の鍼を使用しています。これは皮下出血予防のためだけでなく、顔面部が痛覚に対し過敏であるからです。

筋肉が特に凝り固まっていると静脈、リンパ管の流れが阻害され、うっ血やむくみが生じます。そこに鍼を打つと、うっ血した黒い血液や、透明の間質液が出ることがあります。

治療後の筋肉痛・脱力感

治療後の筋肉痛、脱力感の発生については、鍼治療の経験、鍼治療に対する感受性、症状の重症度、治療の刺激量などが関与してきます。

初診での治療の場合、刺激量を控えめで治療を行うため、抜針後の筋肉痛はほとんど残らないか、1~3時間程度で治まる場合が多いです。症状が強い時や刺鍼の刺激に対する感受性の高い方は、一週間程筋肉痛が残ることもあります。

慢性的に筋肉の状態が悪い場合は、治療後に痛みが一時的に悪化したように感じることがあります。筋肉が固くなりすぎていると、筋の痛覚が鈍くなり、痛みを感じられない状態になります。そこに鍼を打つと、緊張が解け痛覚が戻るため、痛みを感じるようになります。この時点で、筋肉の緊張が完全に解けていれば痛みを感じなくなります。しかし、慢性的に筋の状態が悪いと、一度の刺鍼では筋の緊張が完全に解けず、中途半端に筋が緩んだ状態が生じます。すると刺鍼により回復した痛覚の神経が、完全に緊張の解けていない筋肉によって刺激され、痛みが強くなったように感じられます。このような痛みは長くても一週間程度で引いていきます。痛みが強い場合は、もう一度刺鍼すると治まりますので、2、3日後にもう一度治療を行ってください。治療回数を重ねるにしたがって、筋の状態が良くなってくると、刺鍼時の痛みや刺鍼後の筋肉痛も起こりにくくなってきます。

このように痛みが出るということは、確実に身体に変化が起きている証拠ですので、治療の効果を期待できます。一般的に鍼灸治療では、治癒の過程において生じる副作用を好転反応と呼んでいます。つまり好転反応は副作用の一種だということです。

自律神経への影響による身体の反応

鍼を体に刺入することにより、自律神経にも影響を及ぼし、次のような反応が起こることがあります。

発汗、体のほてり、皮膚の発赤、悪心、便意、尿意等、眠気、だるさ等

初めて鍼治療を受けられる方は緊張している状態であるため、刺鍼の刺激による体の反応が起こりやすい傾向にあります。そのため、治療時の体の反応を見つつ、控えめの刺激量になるように調整しています。また睡眠不足、過労、満腹時、空腹時も自律神経系への影響が出やすい為、注意が必要です。治療中気分が悪くなりそうなときは、我慢せずに早めに申告してください。

初診でリラックスするのは難しいので、コミュニケーションをとりながら、身体状況もよく観察し施術を行っています。施術中は黙っている必要はありません。刺鍼時に感じた体の様子についてお聞きしながら施術を行いますので、感じたことや質問があれば何でもおっしゃっていただければと思います。


今回は副作用について焦点を当てたので、鍼治療を受けたことがない方がこの記事を読むと少し怖くなるかもしれません。ここで上げた反応が必ず起きるということではありませんので安心してください。あらかじめ、良くも悪くもどのような作用があるかについて知っておいていただくことで、不安なく施術を受けていただくことができると考えています。

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