腰部脊柱管狭窄症と診断された臀部下肢痛に対する鍼治療の施術例

症状

歩行時に右下腿外側、腰臀部が痛む。右くるぶし外側周辺の違和感。

痛みが強い為、処方された痛め止めを欠かさず飲んでいる状況。症状の強い時は市販の痛み止めを共用している。病院では脊柱管狭窄症と診断され、硬膜外ブロックを受けるが症状が改善しない。できれば手術は避けたいとのこと。

施術一回目

症状が片側に強く出ており、股関節前側の痛みも訴えているため、右側臥位にて施術を行う。

腰部脊柱起立筋、大腰筋、腰方形筋へ刺鍼

→硬さはあるが刺鍼時に下肢への得気は少ない

小殿筋、中殿筋、梨状筋へ刺鍼

→小殿筋の緊張が特に強く、0.35mmの鍼で撚鍼しながらようやく刺入することができた。しかし何本か刺してもほとんど痛みを感じない。特に硬い箇所の鍼を動かすと少し痛みの感覚がでてきた。同じ個所に特殊鍼を使用すると下肢外側に強い痛みが放散する。

初回のため、下腿、大腿には刺鍼せずに35分置鍼。

抜針後は重だるい感じが強く残るが、歩行に支障が出るほどではない状態。

施術2回目

前回施術後痛みが半減し、ベルトなしで歩けるようになった。

前回と同様のポイントに刺鍼し、今回は腓骨筋付着部への刺鍼も行ったが、下腿外側の筋の状態はそれほど悪くない。

小殿筋の緊張は前回より緩和されているが、依然強い緊張状態にある。1回目より刺激量を増やして刺鍼。

解説

今回は脊柱管狭窄症と診断された下肢痛の例であったが、小殿筋刺鍼時に下肢痛が再現されたため、痛みの主な原因は小中殿筋の関連痛であったと考えられる。現時点で2回目までの治療を行ったが、下肢痛が出るほど小殿筋の状態が悪い場合、ある程度症状が改善するまでに5回~10回程度は刺鍼が必要な場合が多い。

同じような痛みを訴えられていて、病院では坐骨神経痛と診断されたという患者も多い。下肢後側外側に痛みがあると坐骨神経痛と言われることが多いと思われる。今回のようなケースでは坐骨神経痛の治療でよく使われる、腰部や梨状筋、大腿後側に刺鍼しても、はっきりした効果が出なかったりする。診断名に惑わされずに、実際出ている症状をよく見て、原因部位を的確に刺鍼することが必要。

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