夏季休業中、地元に戻った時に、北京堂本店の浅野先生の治療を見学してきました。相変わらず、見学者や患者さんに冗談を言いながら、楽しそうに治療されていらっしゃいました。今回見学をしていて気が付いた点を書いてみたいと思います。
師匠が手の痛みにより施術方法を変更
私が松江に来る直前くらいに、浅野先生は右の手を痛められて、鍼の打ち方を変えていました。もともとは人差し指に中指を引かけて、弾くようにして鍼を打っていたのですが、手を痛めてからは、打つ指を人差し指と中指を逆にしたり、指を引っかけて弾かずに、手首を振り下ろす勢いで鍼を打ったりしていました。
当時、浅野先生に頼まれて、手の平の痛む部位に特殊鍼で治療を行いました。痛めた部分がしこりのように固まっていたので、鍼を刺して多少動かした方がよく効くと思いましたが、先生が痛みで叫ぶので、鍼を刺して置いておくだけにしました。浅野先生は患者に鍼を打つときに患者が騒ぐと、子供じゃないんだから騒ぐなと言うのですが、自分が鍼を打たれるときにかなり騒がれます。笑
後に手の様子を浅野先生に聞いたところ、前回の刺鍼が効いたらしく痛みは無くなったとのことでした。しかし、八月に見学に行った際に刺鍼の様子を見ていると、もともと行っていた中指を弾く方法ではなく、手首を振り下ろす方法で治療されていました。
手の痛みが再発したのかと思い、先生に聞いてみると、予防のために以前のやり方は止めたとのことです。このことには大変驚きました。鍼の打ち方を変えることは、鍼灸師にとって、とても影響のあることだからです。一つのやり方に固執せず、臨機応変に治療の方法を変えていく姿勢は素晴らしいです。
【股関節痛】小殿筋刺鍼の新しい方法
治療の様子を見学していると、股関節が悪い患者に対して、これまで見たことのない刺鍼を行っていました。
仰臥位にて、120mmの鍼を使い、寛骨外側面の小殿筋付着部を擦る刺鍼法です。股関節の周囲の筋肉が固まってしまい、標準的な刺鍼法で効果が薄いときに使います。通常の小殿筋への刺鍼に比べると鍼の響きがかなり強く出ますが、効果もその分高いということです。この刺鍼を受けている患者さんに話を聞くと、この刺鍼法を行うようになってから、施術後の状態がかなり良くなったとおっしゃっていました。
小殿筋がガチガチに固まってしまっていると、緩むまでに時間がかかるので、私も治療にこの刺鍼法を取り入れて、症状の早期改善を目指していきます。
置鍼時間の変更
基本の置鍼時間が40分から35分に変更されていました。詳しい経緯については確認しませんでしたが、35分の方が治療成績が良いとのことでした。
現在、北京堂松江では基本の置鍼時間を35分で設定しています。患者の症状、感受性などで置鍼時間を調整しています。
久しぶりに本店の治療を見学しましたが、相変わらず重症の患者が多く、過激な?治療が多く行われていました。
北京堂松江にいらっしゃる方は、そこまで重症ではないので、特殊鍼の出番も今のところ少ないです。逆に筋肉の状態はそこまで悪くないが、鍼の刺激に対して過敏な方が多い印象です。そのような方には細い鍼を使用したり、鍼の本数を減らすなどして、徐々に慣れてもらうようにしています。